研究概要 |
平成6年1月より現在まで、唇顎口蓋裂患者59名より採血を行った。その内、30名についてQ-バンドにより染色体分析及び高精度分染法による解析を行なったが、唇顎口蓋裂特異的な欠失、重複、挿入、あるいは相互転座などの染色体異常は見いだされていない。DNA多型分析の準備として、正常人44名より採血を行ないフェノール・クロロフォルム法によりリンパ球よりDNAを抽出した。また、唇顎口蓋裂患者からも同様にDNAを抽出しているが、0歳から2歳ぐらいの乳幼児の場合、サザン・ブロット法によるDNA多型解析に十分な血液量が採取できなかったため、リンパ球分離後、EBウイルスによりトランスフォームさせ、Bリンパ芽球様細胞株を樹立させてから、その細胞を培養系にて十分に増殖させた後、DNAを抽出した。さらに、正常人34名について、サザン・ブロット法により、TGFα(TGFα10-3350)の対立遺伝子の日本人におけるタイピングを行ったところ、C1(3.9Kb):C2(2.7Kb)=0.88:0.12という結果が得られた。今後、同遺伝子の唇顎口蓋裂患者におけるタイピングを行ない、正常人を対象した解析から得られた結果と比較検討する予定であり、また、TGFαのべつのcDNAクローン(TGFα10-925)、ほかのGrowth factorおよびそのreceptor(EGF,EGFR,TGFβ)においても同様の解析を行ない、それらのDNA多型分布が、正常人群と本疾患患者群の間で有意差をもって異なっているのかどうか明らかにする予定である。
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