研究概要 |
我々は、骨形成タンパク質(Bone Morphogenetic Protein、以下BMPと略す)の作用メカニズムを解明するため、BMP遺伝子およびBMPレセプター遺伝子のクローニングとそれらの発現の検索を行ってきた。昨年度までに我々は、3種類のヒトBMP遺伝子(BMP‐2,‐4,‐6)、2種類のラットBMPタイプIレセプター遺伝子(タイプIA,IB)をクローニングし、既に報告した。さらに本年度に入り、ラット歯髄細胞株RPC-C2Aより作製したcDNAライブラリーから、BMPタイプIIレセプターと思われるクローンも単離しており、現在その解析を急いでいる。これらのうち、BMPタイプIレセプター遺伝子について、ラットの皮下にBMPを移植し、異所性に誘導した骨形成組織においてその発現を検索した。その結果、タイプIAレセプターおよびタイプIBレセプターは、異所性骨形成における異なったステージで発現し、機能していることが示唆された。さらに、TGF-βやアクチビンといったBMP以外のTGF-βスーパーファミリーのリガンドに対するレセプターの遺伝子も同時に発現していることを確認し、異所性骨形成過程においては、BMPだけではなく、他のTGF-βスーパーファミリーに属する因子も重要な役割を担っていることが示唆された。 現在、これらの遺伝子をプローブとして、発生過程および新生児ラットの顎顔面における発現をin situ hybridizationにて検討中である。
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