研究概要 |
1)純チタン箔上で培養した細胞機能の検討 マウス骨髄由来株化骨芽細胞様細胞TMS-12をチタン箔上で培養した結果、破骨細胞形成能について有意な抑制が認められ、またプロスタグランジンE_2産生について著名な上昇が認められた。このように破骨細胞形成に関する要因についてチタン箔上の細胞培養で変化が認められたためこの因子を明らかにする目的で破骨細胞形成のメカニズムをあわせて検討することにした。この結果、破骨細胞形成過程にみられる細胞融合段階でマンノース残基を末端にもつ糖蛋白質の存在が明らかとなり現在引き続きこの分子の同定をおこなっているところである(Kurachi T,Morita I,Oki T,Ueki T,Sakaguchi K,Enomoto S and Murota S 1994 Expression on Outer Membranes of Mannose Residues, Which Are Involved In Osteoclast Formation via Cellular Fusion Events.J Biol Chem 269:17572-17576)。この研究の継続は炎症や腫瘍において見られる骨吸収のみならず骨内に生体材料を応用した場合にしばしば認められる骨吸収現象の機構解明に大いに寄与するものと考えられる。 2)チタンと培養細胞の接着のメカニズムの解析 focal adhesionは基質-細胞間に認められる接着様式である。この接着に深く関与していると考えられるβ_1インテグリンの挙動についてチタンとTMS-12間で他材料と比較しながら行った。Gly-Arg-Gly-Asp-Ser(GRGDS)ペプタイドを用いた結果、100μg/mlの高濃度を応用してガラスカバースリップおよびプラスチック組織培養プレートと比較したが、6時間後の接着細胞数については各材料間で差は見られなかった。現在、他の接着分子関連ペプチドについても検討中である。
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