研究概要 |
1)パラクリン様式によるEGFの作用 ヒト口腔偏平上皮癌細胞5系を用いてEGFのパラクリン的作用を検討した所、EGFによりtransceller migration, randam motility細胞マッリクス分解酵素(MMP-9, u-PA)産生等の増強が認められ、EGFがヒト口腔偏平上皮癌細胞の浸潤転移に促進的に作用する可能性が示された。 (Tumor Biology, August 20th 1995 accepted, in press) 2)オートクリン様式によるEGFの作用 検討に用いた細胞株の中にEGF産生能を持つ株が見い出され、その産生されたEGFにより他の細胞株の浸潤転移能がEGF受容体を介し増強されることが明らかとなった。(Oncologia 24: 455-457, 1994) 3)EGF高感受性株の樹立 金コロイド法によるrandam motilityの変化を指標としてEGF高感受性株、低感受性株クローンを樹立した。今後、これらの株を用いてEGFがヒト口腔偏平上皮癌細胞の細胞骨格、細胞運動能等に及ぼす情報伝達系の解析を両者間の比較により検討する材料を得た。 4)EGF情報伝達系の解析 EGF高感受性株を用いて検討した所、ErbB1受容体を介してPLCyの活性化が生じ、PIP2からIP3、DGが産生され、次いでPKCの活性化が生じ運動能が亢進されることが明らかとなった。また、PKCのうちnPKCのグループが重要な働きをしていることも明らかとなった。さらに、EGFによる運動能の亢進はP13-kinase阻害剤Wortmanninにっても抑制されたことよりEGFがErbB1受容体と結合後、ErbB3受容体とヘテロ二重体を形成しErbB3受容体を活性化しP13-kinase, PKCを活性化している可能性が示された。(Proceedings of JJCR, 5th Anual Meeting, P458)
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