研究課題/領域番号 |
06672045
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
河野 美砂子 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60153491)
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研究分担者 |
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
野田 忠 新潟大学, 歯学部, 教授 (00013970)
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キーワード | 歯牙腫 / 細胞外基質 / 間質誘導 / 萌出遅延歯周囲組織 |
研究概要 |
平成7年度には、1.大理石骨病マウス切歯歯根端部の歯牙腫様組織の経時的観察、2.萌出遅延歯の歯肉・歯小嚢の病理組織学的・免疫組織化学的検索、について予定どおり研究を遂行し以下の結果を得た。 1.生後1日齡から62週齡のop/op、および正常な同腹マウスの顎骨を切除し連続切片を作成し、各種細胞外基質分子について免疫染色し観察した。その結果、3日齡で切歯歯胚組織は周囲骨梁内に侵入するように成長し、骨梁で断裂された歯胚上皮塊は骨内でも新たに歯原性間葉を誘導していた。また、歯小嚢相当部の間葉組織は経時的に消失していき、ついにセメント質が形成されず、歯乳頭も幼若なまま歯髄への分化がみられなかった。したがって、歯小嚢相当部空間の物理的容積とそこに存在する細胞外基質の適切な配置が歯胚の成長に重要な要因であることが示唆された。(第85回日本病理学会総会にて発表予定) 2.萌出遅延歯の開窓術によってえられた歯冠周囲歯肉組織60例について、各種細胞外基質分子について免疫染色し観察した。その結果、29例(48.4%)は粘液様線維性過形成(MH)を呈する特徴的な病変であった。MHの上方の歯肉組織には線維化がみられ、特定の細胞外基質分子が集積しており、下部のMHの増生により歯肉組織にも活発な改造現象がおきていることが示唆された。また、エナメル上皮線維様組織(AF)の塊状の増殖もみられたが、周囲の萎縮組織に移行して自然退縮しており、真の腫瘍ではなく小児の歯の萌出期に特有な病変と考えられた。これらMH,AFの存在自身、および介在が歯肉線維化を誘導して、下方歯の萌出遅延を招来していると考えられた。(第37回歯科基礎医学会にて発表). 以上の結果より、歯胚の発育異常および歯の萌出障害に関わる要因が明らかになり、本研究によって今後の小児歯科臨床における基礎的裏づけをなすための、重要な知見を得ることができた。
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