研究課題/領域番号 |
06672051
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小林 秀樹 岡山大学, 歯学部・付属病院, 講師 (90153626)
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研究分担者 |
中後 忠男 岡山大学, 歯学部, 教授 (40064654)
三谷 清二 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70097517)
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キーワード | 舌・咽頭の形態的変化 / 下顎枝矢状分割法 / 舌縮小術 / 舌骨の位置 / 嚥下時間 / 舌背の高さ / 側方頭部X線規格写真 / X線映画 |
研究概要 |
下顎後退術による固有口腔容積の縮小によって口腔・咽頭領域の形状にどの様な変化がでるかについて主として安静時、嚥下時・発音時の機能形態的変化のありかたを解明する目的で、手術前、手術後約3-5カ月経過時、手術後約1年経過時の資料を検討した。被験者は下顎枝矢状分割法によって下顎を後退させた下顎後退術単独群4名とこれに舌縮小術を併用した患者(以下舌縮小術適用群と称する)3名であった。安静時の舌尖の位置及び舌背の高さの解析は下顎安静時の側方頭部X腺規格写真より、嚥下時・発音時の舌機能運動時の解析はX線映画により行い舌背・舌骨の位置及び咽頭の形態を検討した。その結果以下のことが明らかとなった。 1)下顎後退術単独群では安静時の咽頭腔前後径は術後3-5カ月の時点で4例中3例で2.0-3.0mm減少し、術後1年経過した時点でも全例で2.5-5.5mm減少した。また術後1年経過した時点での舌背の高さについても4例中3例で1.0-4.5mm挙上し、施術前の状態に復帰していないことがわかった。同じ時点でも機能運動時の舌背の高さの増加あるには咽頭部の前後径の狭窄が明らかに認められた。また術後1年経過した時点でも嚥下中の舌尖の溢出を示す症例は4例中2例であり、嚥下開始時から食道相までの嚥下に要する時間の延長を認めた症例は4例中2例であった。さらに嚥下時の舌骨の運動範囲が4例中3例でより後方に変化した。 2)舌縮小術適用群は術後3-5カ月の時点で全例で1.0-2.0mmの安静時での咽頭の狭窄傾向を認めたが、術後1年経過時で全例で消失した。安静時の舌背の高さの増加は下顎後退術単独群より小さい傾向にあった。下顎後退術施術前に機能運動時の術前に認められた嚥下時発音時の舌尖部の溢出はすべて消失した。舌縮小術適用症例では全例において嚥下開始時から食道相までの嚥下に要する時間は減少し、正常化の傾向が認められた。 以上下顎後退術単独群と舌縮小適用群との違いは下顎後退術施術患者の機能形態的変化の術後経過の判断に応用できる所見である。
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