研究概要 |
小児の顎・顔面・歯列の三次元的な成長発育を把握することは,小児歯科臨床において,とくに咬合誘導の分野で重要である。 本研究では顎・顔面の形態的診断法としては三次元生体計測システムを構築し,本計測システムを用いたフィールドワークにより,日本人小児および成人を対象とした計測の結果採取できた800人に及ぶ資料により,各咬合発育段階における日本人の顎・顔面・歯列の三次元標準座標値が得られ,この標準座標値をもとに各計測点間距離及び各計測点により規定される面積の成長発育における変化等の考察を行った。 また,小児の歯列および咬合の成長発育の経過的形成過程を三次元的に把握することを目的とし,臨床的に正常歯列と判断された各発育段階における日本人小児の口腔内印象模型を対象とした三次元計測を行い,歯列の立体的形態変化およびそれに伴う咬頭嵌合位における咬合接触部位の変化について研究を行った。 さらに顎運動機能に関しては咬合圧計測機を応用し,特に障害児の咬合・咀嚼状態について臨床的諸問題の検討を行った。 本研究において小児の顎・顔面・歯列形態及び顎運動機能の臨床的な三次元総合診断システムの構築に向け各要素の可能性が示唆された。統合的な方向性を目標とした更なる研究により小児の形態と機能の診断において有意義なシステムが構築されると思われる。
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