研究概要 |
矯正治療後に行われる保定は,矯正治療によって獲得された良い咬合状態を維持し、動的治療終了時の状態で長期に管理することを目的として,二次的矯正治療あるいは静的矯正治療とも言われ,矯正治療後の最終的処置として重視されている.しかし,日常では後戻りが発現しているのが現状であり,その変化様相を究明することは、臨床上非常に重要なことと考える.今回,臨床的観点から,反対咬合者の後戻り変化を解明するために側面頭部X線規格写真を用いて評価した. 資料:骨格性反対咬合と診断し,chin cap装置と全帯環装置にて治療した30症例(男子18名,女子12名)である。男子初診時年齢8歳8カ月から11歳11カ月,女子初診時年齢7歳11カ月から11歳3カ月である。使用装置は,全帯環装置とchin cap装置である. 評価方法:後戻り様相の評価方法は,初診時,動的治療終了時,保定1年,3年,の各時点に撮影した側面頭部X線維規格写真を用いた. 結果:動的治療終了時から保定1年間の変化では,骨格系におては,SNPに変化があり,下顎骨の前方移動が認められた.歯素は,L1-mand.plomeに変化があり,下顎前歯の唇側傾斜が認められた.咬合平面は認められず安定していた.保定1年から保定3年の変化では,骨格系においては,SNB.SNPに変化がり,下顎骨の前方移動が認められた. 歯系では,U1-SN,overjetに変化があり,上顎前歯の唇側傾斜が認められた.咬合平面は,変化が認められずに安定していた.以上より,骨格性反対咬合の矯正治療の後戻り変化は,骨格系では,下顎骨の前方移動と歯系では,上顎前歯の唇側傾斜,下顎前歯の唇側傾斜であった.
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