フッ素徐放性レジンシーラントに関する基礎的研究において、最初にフッ素徐放性レジンの溶出実験が不統一なため、溶出条件について検討した。 動的溶出法と、静的溶出法におけるフッ素イオンの溶出速度には明らかな差異がみられ、0日から1日において約3倍、2日以降において約1.8倍高く、16日間の動的溶出法によって溶出したフッ素イオンは静的溶出法のおよそ6倍またはそれ以上であった。また3種の浸漬液(脱イオン水、リン酸緩衝液、人口唾液)によるフッ素イオンの溶出量および溶出速度に対する有意な差は見られなかった。また試験片の厚さの増加に伴いフッ素イオンの溶出量の増加傾向がみられ、特に0.2mmと0.5mmとの間に顕著な差が見られた。よって各種試作レジンシーラントの吸水性に関する実験はフッ素イオンカルシウムのイオン分析のしやすさなどを考慮して脱イオン水において、0.5mm厚さの試験片を5枚使用し、動的溶出法によって行った。その結果マトリックスレジンの吸水性とフッ素イオン溶出量との間には相関が見られ吸水性の高いマトリックスレジンからなるシ-ラントほどフッ素イオンの溶出量および溶出速度が高い傾向を示すことが判明した。
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