研究概要 |
フッ素徐放性レジンシーラントのフッ素徐放性と溶出条件との関係、モノマー組成とフッ素徐放性との関係、および試作フッ素徐放性レジンシーラントからウシエナメル質へのフッ素イオンの取り込み量について検討し、以下の結論を得た。 1)フッ素の溶出量は、浸漬液に振とうを加えることによって著しく増大し、約1/2ケ月で静的溶出法における3ケ月以上の溶出量の予測が可能であった。また、フッ素の溶出量は浸漬時間の平方根に比例して増加した。 2)3種の浸漬液(脱イオン水、リン酸緩衝液、人工唾液)に対するフッ素イオン溶出速度には、あまり差異がなかった。 3)マトリックスレジンの吸水性は、フッ素イオンの溶出速度に密接に関係し、吸水性の高いDPHA^*(A液)が最も高いフッ素イオン溶出性を示した。 4)EMA/1G=75/25のコモノマー(B液)は、PMF40およびPMF60に対する高い溶解性を持ち、かつ、良好な流動性を示した。 5)DPHA^*-EMA/1G(PMF 40:30%orPMF 60:15%)からなる試作レジンシーラント(No.10.12)は優れた安全性と光重合性を持ち、またコントロールの1.7〜1.9倍の高いフッ素徐放性を示した。 6)両レジンシーラントからウシエナメル質へのフッ素の取り込み量は、シ-ラント直下および周辺部の何れにおいてもコントロールに比べて高い値を示し、また、直下では30-40μm,周辺部でも10〜20μmまでフッ素の浸透が認められた。
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