研究概要 |
P388マウス白血病細胞に対する細胞毒性活性物質を探索する過程で,キク科植物Carpesium glossophyllumからgermacranolide型sesquiterpene, ineupatolida AおよびBを単離した.担子菌ニセクロハツRussula subnigricansに含まれる,P388白血病細胞に対する細胞毒性活性物質として,新たにchlorohydroquinone 4量体russuphelolを単離し,構造を明らかにした.Russuphelolは不斉炭素を持たないが,光学活性を示すことが判明した. 担子菌ハエトリシメジTricoloma muscariumの水溶性画分からtricholomic acidの他にibotenic acidを単離した.Ibotenic acidは摂食後muscimolに変化し,中枢毒性作用を示すことが知られている.担子菌シロオニタケAmanita vergineoidesのアミノ酸画分より新規アミノ酸(S)-cis-2-amino-5-chloro-4-pentenoic acidを単離し,構造を明らかにした.Amanita属担子菌は環状ペプチドによる中毒が有名であるが,アレンアミノ酸などの不飽和アミノ酸を含むものも多い.不飽和アミノ酸はglutamine decarboxylaseを阻害し,痙攣を伴う中毒を起こすことが知られている. 担子菌カレバキツネタケLaccaria vinaceoavellaneaから,子牛心臓のcyclic AMP phosphodiesterase阻害活性を示す新規alkaloid, laccarinを単離し,構造を明らかにした. 本研究において6種類の生理活性物質を単離し,構造を明らかにした.今後はこれらの化合物について,活性発現メカニズムの解明を通して医薬品開発への寄与が望まれる.
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