研究概要 |
申請者らの見いだしたパラジウム(II)触媒を用いる立体選択的なヘテロ環構築法の応用を行った。 まず環化生成物が2,6位二置換ピペリジンアルカロイドの不斉合成素子となり得る基質を設計した。この基質をプロパルギルアルコールを出発原料として,香月-Sharpless不斉酸化やエポキシへのオキサゾリジノンの分子内環化を経由して合成した。この基質を触媒量の塩化パラジウム/アセトニトリル錯体で処理することによって,2,6位トランス二置換ピペリジン環を有する双環系オキサゾリジノン体を得ることができた。さらに、環化反応における同様の基質を有機銀塩で処理したところ,この場合2,6位シス二置換ピペリジン環を有する双環系オキサゾリジノン体を得ることができた。2,6位トランス二置換ピペジリン環を有する双環系オキサゾリジノン体から側鎖の延長とオキサゾリジノン環の開裂を行うことによて、(+)-prosopinineへの変換にも成功した。また,2,6位シス二置換ピペリジン環を有する双環系オキサゾリジノン体から(+)-palustrineへの変換を現在行っている。これらの結果を日本化学会第69春季年会(京都)で発表予定である。さらに申請者は環化反応の立体制御に,置換基がどうような影響を与えるかを確かめる目的で、数種の環化反応の基質を合成し,それらの反応を行うと共に環化生成物の一種から(+)-pseudoconhydrine等の天然物への変換を行った。 現在上記の成果を論文として発表すべくまとめている。
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