| 研究概要 |
ヒトデDermasterias imbricataより単離されたアルカロイドimbricatine(1)を合成し,その構造と絶対配置を決定することを目的として,1の含硫ベンジルテトラヒドロイソキノリン部を次のようにして合成した。
1.三級アミド体2a,bへのdirected ortho lithiation反応後硫黄で処理し,生成するリチウムチオレート体を4‐methoxybenzyl chlorideにてS‐アルキル化した。次に,LiAlH_4でアミド基を還元後,ClCO_2Etでベンジルクロリド体へと変換した。これにSchollkopfのアミノ酸不斉合成法である「ビスラクチムエーテル法」を適用し,良好な光学純度を有する含硫D‐フェニルアラニン誘導体3a,bを好収率で得た。
2.3a,bとフェニルアセチルクロリド体とのSchotten-Baumann反応後,生成するアミド体をtrimethylsilylpolyphosphateでBischler-Napieralski閉環した後,-78℃にてNaBH_4で還元し1,3‐cis‐ベンジルテトラヒドロイソキノリン体4a,bを得た。
3.4a,bをイミダゾール部とカップリングさせるためまず4a,bの2位をBOC基又はCHO基で保護した後,トリフルオロ酢酸第二水銀で硫黄の保護基を除去し5a(R′=CHO)と5b(R′BOC,CHO)を合成した。一方,予想される3位でのエピメリ化を避ける目的で4a,bをLiAlH_4で還元後,オキサゾロン体へと変換し,トリフルオロ酢酸第二水銀で処理して6a,bを合成した。
今後,5a,bと6a,bについて我々が開発した5‐arylthio‐3‐methyl‐L‐histidine類の一般的合成法を適用しimbricatine(1)の合成を検討する予定である。
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