2位置換活性型ビタミンD誘導体の合成において、まずβ-ケトエステルとアミンより得られるエナミンγ位でのアルドール反応により1位、2位の立体を制御しようと試みた。アルドール反応は効率良く進行したが、カラムによりラクトン化が起こり単一のジアステレオマ-が得らた。さらにエナミン部分の加水分解は不成功に終わった。そこでEvansのオキサゾリドンを用いるアルドール反応を行うこととし、式(1)のようにα-ブロモアクロレインとのアルドール反応、水酸基の保護、キラル補助の除去によりベンジルエステルを高選択的に得た。この後は、還元によりアルデヒドにしキラルな酢酸誘導体との不斉アルドール反応、不斉源の除去、還元、シス選択的なWittig-Horner反応、Pbを用いる環化によりA環部分の合成を完成させる予定である。シス選択的なWittig-Horner反応としてはStillらの方法が知られているが、高価な薬品を用いる必要があるため、新しい実用的な方法の開発を行うこととした。種々検討の結果、エチルジフェニルホスホノアセテートが、安価な塩基であるTritonBやNaHの存在下でも高い選択性でシス体を与えることがわかった。(式(2))。
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