研究課題/領域番号 |
06672115
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
秋田 弘幸 東邦大学, 薬学部, 教授 (60087525)
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研究分担者 |
南雲 紳史 東邦大学, 薬学部, 助手 (40246765)
尾能 満智子 東邦大学, 薬学部, 助教授 (80104149)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 酵素脂質会合体 / リパーゼ / リン脂質 / 不斉加水分解 / 固定化酵素 / X線回析 / 光学活性エポキシエステル |
研究概要 |
生体では脂質合成に代表されるように疎水性物質の合成、代謝は細胞内の疎水的な生体膜の中、またはその界面に存在する酵素によって触媒されていると考えられる。しかしこのような疎水性環境下での酵素反応機構の解明はほとんどされていない。これは疎水性環境下で酵素を安定に保ち、酵素反応を発現させる方法の開発が遅れているからである。これに対し、我々は天然の生体膜と類似に構造を有する人工脂質膜の構築を企画した。まず天然のリン脂質と類似に構造を有するアルキルエーテル型にリン脂質アナローグ27種を合成した。次いで、これらを用いて酵素(リパーゼ)が疎水環境下でも機能を発現できるように、生体膜の相近似モデルとしても重要と考えられる逆ミセル又は一分子膜ミセルを形成させることを検討した。リパーゼ/水系と合成リン脂質化合物/有機溶媒系からなる二相系へ超音波を短時間照射することにより、種々の酵素(リパーゼ)/エーテル型リン脂質会合体を調製した。このようにして調製した会合体を用いて、難水溶性化合物の有機溶媒中での不斉加水分解反応を検討した。基質としては、薬理活性化合物(カルシウム拮抗剤であるジルチアゼム)合成のための合成中間体を選び、この化合物の二級水酸基をアシル化した化合物についてエナンチオ選択的加水分解が進行するかどうか検討した。反応は従来の合成ポリマー(光架橋性樹脂)を担体とした固定化リパーゼ法に比べて反応時間が著しく短縮され、加水分解生成物及び原料回収に相当するアシル体の収率、光学純度ともに高い値で得られ、本会合体は固定化酵素としての機能を有することを明かとした。又、会合体の構造はX線解析によって二重膜からなるラメラ構造の中に酵素を取り込んでいることが判明した。更にリパーゼによる光学活性化合物の合成研究の一環として光学活性エポキシエステルを合成し、その応用について検討した。
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