研究課題/領域番号 |
06672116
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
野村 太郎 東邦大学, 薬学部, 教授 (90057505)
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研究分担者 |
上田 伸一 京都大学, 薬学部, 助教授 (20025688)
羽野 芳生 東邦大学, 薬学部, 講師 (00156382)
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キーワード | Morus alba / カルス / メバロン酸 / 生合成 / コンパクチン / HMG-COA還元酵素阻害剤 / β-シトステロール / イソプレニルフェノール |
研究概要 |
クワ(Morus alba L.)カルスにはステロール系化合物(β-シトスロール)およびイソプレニルフェノール系化合物のための各々独立したイソプレン生合成(メバロン酸生合成)経路が存在することから、同カルスにメバロン酸生合成阻害剤(3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA(HMG-CoA)還元酵素阻害剤)のコンパクチンを投与し、上記2種のメバロン酸生合成経路に対する同阻害剤の効果を検討した。実験方法として、クワカルスにコンパクチンの投与時に^<13>C標識酢酸([2-^<13>C]CH_3COONa,99 atom %)を同時投与し、^<13>C標識酢酸のβ-シトステロールおよびイソプレニルフェノール系化合物への取り込み率を指標とした。その結果、β-シトステロールを構成する各イソプレン部分への酢酸の取り込みは完全に阻害されたが、イソプレニルフェノール系化合物(カルコモラシン)のイソプレン部分への取り込みは全く阻害されなかった。コンパクチン非存在下における^<13>C標識酢酸の投与実験ではβ-シトステロールへの酢酸の取り込みは認められたことから、コンパクチン存在下における結果は同阻害剤がステロール系化合物に特異的な阻害剤であることが示された。さらに興味あることは、ステロール系化合物の酢酸からの生合成が阻害されたにも拘わらず、β-シトステロールの生産量がコンパクチン非存在下よりも約5倍増大しており、既報のラット肝細胞を用いたコンパクチン投与実験の結果(この場合はコレステロール量の増大)と一致することが示された。従って、クワ培養細胞がステロール生合成に関して動物細胞と類似の機構を有していることの知見を得ると同時に、コンパクチン投与によって誘発される別のステロール系生合成経路の徹底解明が本研究課題において大きな意義を持つことが示唆された。
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