研究概要 |
平成6年度の検討によって、ショウガ成分にin vitro抗アレルギー作用が認められたことから、今年度は6-shogaolや6-gingenolなどのショウガの所要成分についてI〜IV型アレルギーモデルを用いて検討した。その結果、6-shogaolにはラット48時間受身皮膚アナフィラキシ-(PCA)反応に対する顕著な抑制作用やラット腹腔内肥満細胞を用いたヒスタミン遊離抑制作用のあることが判明した。また、6-shogaolには用量依存的ではないが、in vivo抗I型アレルギー作用が認められるなど、薬用食物ショウガにはアトピーなどのI型アレルギーに対して抑制作用のあることが証明された。しかし、マウスIgE産生能に対する作用など他のアレルギーモデルに対しては、ショウガ成分には顕著な抑制効果は認められなかった。 山菜として食用に供されるタラノキ頂芽(タラノメ)から主サポニン成分としてelatoside G,H,I,J,Kを単離し、それらの化学構造を明らかにするとともに、これらのサポニン成分にラットの小腸からの糖吸収を顕著に抑制することが判明した。これまでタラノキ根皮や樹皮が漢方医学や日本民間薬として糖尿病の予防や治療に有効であると伝承されていたが、食用とされるタラノメに糖吸収抑制効果が認められたことは、糖尿病の予防効果を有する食品としての開発が期待され興味深い。 平成6年度に、西洋トチノキ種子から5種の糖吸収抑制活性サポニンを単離し、それらの化学構造を明らかにした。今年度は、トチモチなどとして我国で食用に供される日本(京都府)産トチノキ種子について検討し、escin IIIb,IV,Vと称する新規サポニンを単離し、それらの化学構造を明らかにするとともに、顕著な糖吸収抑制活性のあることを見い出すなど当初計画をほぼ達成することができた。
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