研究課題/領域番号 |
06672130
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
佐藤 利夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70075943)
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研究分担者 |
西木 まゆみ 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (40140610)
松本 仁 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (30109730)
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キーワード | 3、4-ジヒドロキシカルコン類 / ヒアルロニダーゼ阻害活性 / 5-LO阻害活性 / アラキドン酸誘発耳浮腫反応抑制 / TPA誘発マウス耳浮腫反応抑制 / 乾癬治療薬 / アトピー性皮ふ炎治療薬 / 外用剤 |
研究概要 |
ステロイドに代わる難治性皮膚疾患(乾癬、アトピー性皮膚疾患)の治療薬を開発する目的で、甘草中に含まれるイソリクイリチゲニン(4、2′、4′-トリヒドロキシカルコン)を先導化合物として約50種のカルコン類をデザイン・合成した。合成した化合物について、ヒアルロニダーゼ阻害活性、5-リポキシゲナーゼ(50LO)阻害活性及び局所炎症(アラキドン酸誘発耳浮腫反応及び12-O-テトラデカノイールホルボール 13-アセテート(TPA)誘発マウス耳浮腫反応)抑制作用を指標として、上記難治性皮膚疾患の治療薬の創製研究を行い、以下の知見を得た。[I]ヒアルロニダーゼ阻害活性:合成したカルコン類はいずれもヒアルロニダーゼ阻害活性を示し、それらのIC_<50>値はμMのオーダーであった。[II]5-LO阻害活性:5-LOに対しては、特に3、4-ジヒドロキシカルコン類に強い阻害活性を示すものがあり、それらのIC_<50>値はnMオーダーであった。構造-活性相関を検討した結果、これら化合物のB環に電子供与性基を導入すると阻害活性が上昇し、逆に電子吸引性基を導入すると阻害活性が低下する事が明らかとなった。[III]-局所抗炎症作用:3、4-ジヒドロキシカルコン類はアラキドン酸誘発耳浮腫反応を抑制し、その抑制作用の強さと5-LO阻害活性のそれとが良く相関した。これら化合物のうち、2′、3′-ジメトキシ-3、4-ジドロキシカルコン(化合物1)が低用量で浮腫反応を抑制した。また、化合物1はアラキドン酸及びTPA誘発マウス耳浮腫反応に対して、既知同効薬のフェニドンより強力な抑制作用を示した。以上の検討結果から、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有するとともに強力に5-LOを阻害し、しかも著明な局所抗炎症作用を示す化合物1を見出す事が出来た。このものはカテコール骨格を有しているため生体内で代謝されやすく、局所適用した場合、ステロイド剤とは異なり全身作用を示す事のない特長があり、ステロイドに代わる難治性皮膚疾患治療薬として有用である事を示す事が出来た。
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