研究概要 |
Positron Emission Tomography(PET)は、ポジトロン(β^+)放出放射性同位元素の特性を利用して開発された断層撮像法で、定量性の高い情報が入手でき、分解能が高い等、従来のインビボ核医学画像診断法にはない優れた特徴がある。しかし、ほとんどのβ^+放出核種は、極めて短寿命であり、病態診断等の臨床応用を行うためには、病院内に小型サイクロトロンを設置した大型施設を必要とするために、その優れた特性が評価されているにもかかわらず、広範な利用が制約されているのが実情である。そこで、この物理的制約を回避するために提案されている方法が、β^+放出核種の2次製法であるジェネレータの利用である。本研究は、β^+核医学の分野において、最も期待されている^<+68>Ge/^<68>Gaジェネレータを、新規高分子素材を用いて構築することを目的としている。 (1)グルカミン型樹脂の非放射性Ge及びGaに対する吸着特性を検討した結果、Geに対しては、高い親和性を、Gaに対しては低い親和性を有することが確認できた。 (2)グルカミン型樹脂の放射性^<+68>Geと^<68>Gaに対する吸脱着性を、バッチ及びカラム法により検討した結果、キャリヤフリーの場合においても、Geに対する高い親和性が確認できた。 (3)^<68>Gaの溶離を以下の2通りの方法を試み、どちらの方法も効率よく^<68>Gaの溶離が可能であることが明らかになった。 a)溶離剤に^<68>Gaと錯形成可能な低分子配位子(EDTA,デフェロキサミン)を用いて直接標識をおこなった。 b)溶離剤に比較的不安定な錯体を生成する配位子(リン酸、クエン酸)を選択した。 a)の場合は得られた錯体は、放射性医薬品として利用可能であり、b)の場合には配位子交換によるタンパク質などの高分子物質の間接標識が可能であった。
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