研究課題/領域番号 |
06672149
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
酒井 朝也 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (00080169)
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研究分担者 |
栗本 英治 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (90234575)
黒田 良孝 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (40080204)
野原 大輔 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60080214)
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キーワード | ジスルフィド結合 / 小ループS-S結合 / タンパク質のリフォールディング / タンパク質の折りたたみ / タンパク質の構造 / グルタチオン / サイトカイン |
研究概要 |
分子内にS-S結合小ループをもつ球状タンパク質として封入体から高純度で得られるヒトInterleukin-6(rhIL-6)を採用し、このS-S結合を全還元し6M guanidinium chloride(GdmCl)に溶解させ表題の目的を明らかにするため、次の2通りの方法でrefoldingさせた。(1)6M GdmCl中で空気酸化させた後10倍希釈(2)まず10倍希釈し、0.6M GdmCl中でタンパク質の高次構造をある程度形成させた後に空気酸化。いずれの場合も10倍希釈した時点でのタンパク質濃度は0.5mg/mlである。 (1)の方法ではaggregatesは生ぜず正しいS-S結合をした酸化体の収率は約85%であることをRP-HPLCで定量した。残り約15%は分子間S-S結合によるdimerかtrimerと考えられた。この方法によった場合0.05から1mg/mlのタンパク質濃度範囲では結果に大差はなかった。これに対し(2)の方法によれば溶液部分での正しい酸化体の選択率は90%を越えるが、同時に30%程度のaggregatesが生じており全体としての収率は65%程度となり(1)の場合より低かった。タンパク質濃度が高くなると、さらにこの傾向が強くなった。こうした結果から6M GdmCl中での酸化方法がタンパク質濃度を高くして操作しても収率が良好なことから、工業的には有利である。 上述のGdmClのみによる最適化ではなく、複数の試薬の様々な濃度の組み合わせによるmediaを調製して酸化敵refoldingの高収率で得られる条件を探索した。その結果、1M Urea+1M LiClの組み合わせ溶液ではaggregatesもなく収率90%以上を得た。また、60(w/v)% Ethylene glycol+1M LiClの系では分子間S-S結合による2量体が顕著に生成することがわかった。今後各種mediaの開発、設計とともにタンパク質濃度依存性とrefolding後のS-S結合位置を調査する予定である。
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