研究課題/領域番号 |
06672149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
酒井 朝也 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (00080169)
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研究分担者 |
栗本 英治 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (90234575)
黒田 良孝 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (40080204)
野原 大輔 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60080214)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | ジスルフィド結合 / 小ループS-S結合 / タンパク質のリフォールディング / タンパク質の折りたたみ / タンパク質の構造 / グルタチオン / サイトカイン |
研究概要 |
本研究の目的は、小ループS-S結合がタンパク質の酸化的refoldingに対しどのような働きをするかを明らかにすることである。研究対象として2つの小ループS-S結合をもつrecombinant human interleukin 6(rhIL-6)を取り上げ、種々の溶液中で全還元体を酸化することにより、酸化の際の構造形成の程度と正しい組み合わせのS-S結合が形成される割合との関係を調べた。 rhIL-6は高濃度の変性剤中、random coil状態で酸化してもほとんどは正常な組み合わせのS-S結合が形成される。しかし、どうしても反応の選択率が悪くなり、僅かに生じる複雑な副生成物が問題となる。一方、まず高次構造形成させてから酸化する方法では、反応の選択率は良くなるがタンパク質濃度が高くなるとaggregatesが生成してしまう。したがって、収率よくrefoldingを行うためにはaggregationを抑制する工夫が必要となった。rhIL-6の場合、複数の試薬を組み合わせるrefolding手法が効果的で、1M ureaに1M LiClを組み合わせた溶液を用いることで、0.5mg/mlのタンパク質濃度でも収率を約90%まで上げることに成功した。しかし、一般にはそれぞれのタンパク質に最適なrefolding溶液の設計が必要であり、これが困難になる場合も考えられる。以上のように2つの方法それぞれに長所・短所があるが、変性剤中で酸化しても高収率をあげられるということは小ループS-S結合を持たない他のタンパク質にはない特徴であり、それによりrefolding操作が大幅に単純化されるため工業的には非常に有効な手法と言える。また、小ループS-S結合でもその形成によりrhIL-6の構造安定性を高め、refoldingも容易になる効果があることから、変性剤中で形成可能な小ループS-S結合をrefolding困難なタンパク質に新たに導入することにより、そのrefolding収率を高める手法の有効性が示唆された。
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