研究課題/領域番号 |
06672150
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
四ツ柳 智久 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (40080189)
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研究分担者 |
櫨本 紀夫 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (40192273)
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キーワード | アンチセンス / オリゴヌクレオチド / カチオン性リポソーム / 遺伝子発現抑制 / 細胞内取り込み機構 / DNA-リポソーム複合体 |
研究概要 |
サイトカインは、細胞間相互作用を媒介するタンパク質性因子で、免疫応答の制御、抗腫瘍作用などがある。インターロイキン6(lL6)は炎症性サイトカインの一つであり、劇症肝炎患者の血清で多く見い出され、細胞性免疫反応を介して肝障害に対して影響を及ぼすことが指摘されている。本研究で用いたA-375-6細胞は、human melanoma cell lineで、インターロイキン1(lL1)の刺激により、lL6を細胞外へ放出する。そこで、lL1刺激後の細胞にlL6のアンチセンスDNAを作用させ、lL6の産生に及ぼす影響について検討した。 lL6に対するアンチセンスは、mRNA翻訳開始領域に相補的な18-merのアンチセンスDNA(5'-TGTGGAGAAGGAGTT-3')を合成し用いた。合成アンチセンスはホスホジエステル体で、Tmは48℃であった。A-375-6細胞のlL1感受性を、細胞増殖度により調べ、1unit/ml以上の濃度で顕著な細胞増殖抑制を観測した。アンチセンスのキャリアーとして用いるカチオン性リポソームは、DMPA-コレステロール誘導体とDOPEより調製した。A375-6をwellで48時間培養後、あらかじめ調製したアンチセンス/リポソーム混合液を細胞に添加し、3時間インキュベーションした。新たな培地にlL1を加え、18時間後に培地中に放出されたlL6量をMH60・BSF-2細胞に対する増殖促進性を利用してアッセイした。lL6の放出は、lL1で促進されると共にリポソームの共存下で更に増大した。これは、ある種の細胞に於いてリポ多糖の刺激によりサイトカインの分泌が促進されることと関連している可能性がある。特にカチオン性リポソームは細胞表面に結合し、構成脂質が細胞内へ取り込まれ易いことから起こりうる現象と思われる。リポソームと共にアンチセンスを同時に加えると、lL6の放出は抑制された。ただしその抑制率は不十分であり、今後更に最適投与条件について検討していく必要がある。
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