研究課題/領域番号 |
06672157
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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研究分担者 |
佐野 由幸 京都薬科大学, 薬学部, 副手 (30257779)
岡 茂範 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10268097)
田和 理市 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (80142587)
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キーワード | LECラット / 肝炎・肝ガン / 銅蓄積 / メタロチオネイン / フリーラジカル / ヒドロキシルラジカル |
研究概要 |
LEC(Long-Evans Cinnanon)ラットは、遺伝的に黄疸-急性肝炎-慢性肝炎-肝硬変を経て肝癌を自然発症するため、ヒト肝疾患のモデル動物として注目されている。LECラットによる肝疾患発症の機構を明らかにすることを目的として研究を開始した。これまでに、肝臓における銅の異常蓄積にもとずいて銅-メタロチオネイン(CU-MT)が、健常ラットに比べて約50以上も誘導されていることを見いだした。そこで、本研究において、(1)誘導されたCu-MTを大量に単離精製し、アミノ酸の一次配列構造を明らかにする、(2)Cu-MTの物理化学的性質を詳細に検討する、そして(3)Cu-MTが体内の活性酸素、とくに過酸化水素(H_2O_2と反応して、肝炎や肝癌発症の引き金となるフリージカルを産生するかどうか、の以上3項目について検討することとした。 (1)については、Cu-MTの精製は、他のメタロチオネインと異なり極めて困難であることが分かった。かなり精製したタンパクを用いてアミノ酸配列を検討したところ、N末端から17番目までのアミノ酸配列を決定することができた。しかし、これまで用いてきた精製法には限界があるため、来年度は抗体を用いたアフィニティークロマトグラム法を取り入れて精製法を検討する予定である。(2)については、来年度精製したCu-MTを用いて検討する。(3)に関しては、(1)で精製したCu-MTと細胞内に存在するH_2O_2とを反応させ、ESR(電子スピン共鳴)-スピントラップ法により検討したところ、径時的にヒドロキシルラジカル(・OH)が銅濃度に依存して産生されていることを明らかにした。健常ラットから得たCu-MTとH_2O_2との反応では、・OHの産生は極めて低いものであった。この結果を基礎にして、in vivo系において活性酸素・フリーラジカルの検出を試みている。
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