麻酔犬の生体位副腎標本を用い、アドレナリン性受容体による副腎髄質カテコールアミン分泌調節機構について検討し、以下の知見を得た。 1.α_2受容体による調節 副腎髄質細胞におけるα2受容体のカテコールアミン分泌調節機構の存在を明確にする目的に、内蔵神経刺激によるカテコールアミン分泌に対するα_2受容体遮断薬(yohimbine)の作用を検討した。カテコールアミン分泌はyohimbineで顕著に増強された。以上の結果から、副腎髄質においても交感神経終末と同様に、カテコールアミン分泌を抑制的に調節するα_2受容体機構が存在することが示唆された。 2.β受容体による調節 副腎髄質細胞におけるβ受容体を介する自己調節機構を明らかにする目的で、内蔵神経刺激によるカテコールアミン分泌に対するβ受容体遮断薬・刺激薬の作用を検討した。カテコールアミン分泌は、選択的β_1受容体遮断薬Atenololで有意に増強されたが、選択的β_1受容体遮断薬ICI118551および非選択的遮断薬Nadololでは影響を受けなかった。Atenololの遊離増強作用はICI118551で遮断された。Isoproterenolおよび選択的β_1受容体刺激薬Procaterolは、Atenolol存在下においてのみ刺激によるカテコールアミン分泌を増強した。両刺激薬の増強は、ICI118551で遮断された。以上の結果から、カテコールアミン分泌を促進性に調節するβ_2受容体機構とこの促進機構を抑制的に制御するβ_1受容体機構が存在することが示唆された。
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