cdk2は細胞周期に依存して活性が変化することが知られている。この活性変化は転写調節と翻訳後調節の二つのポイントで制御されているらしい。cdk2mRNA量が細胞周期に依存して変動することから、cdk2遺伝子が転写調節を受けていることを見いだした。cdk2はG1/S期において増加しはじめ、S期で最大に達し、その後減少した。そこでマウスcdk2遺伝子をクローニングし+68bpから5'分上流域の何カ所かまでをサブクローニングしてルシフェラーゼリポーターを作成し、CHO細胞へトランスフェクト、クローニングし、リポーターが染色体へ組み込まれた形質転換細胞を得た。この細胞を同調しルシフェラーゼアッセイを行ったところ、+68から-419bpの領域があれば細胞周期依存的にルシフェラーゼの活性が増減することが分かり、この領域が細胞周期依存的な転写調節に必要なことが分かった。更に、翻訳後調節についても検討した。cdkファミリーはリン酸化脱リン酸化によって活性が調節されていることが予想されているが、これに関与している酵素はまだはっきりしていない。そこでcdk2のリン酸化酵素と推定されているマウスのwee1をクローニングしその活性について検討した。クローニングしたマウスwee1cDNAは2258bpで、646個のアミノ酸をコードしていた。このcDNAをエクスプレッションヴェクターへ組み込み、活性について検討したところ、1)マウスwee1はN-末端のリン酸化を受け、不活性化される、2)wee1はcdkファミリーの一つcdc2をリン酸化する、の結論を得た。cdk2のリン酸化に関しては現在検討中である。
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