好中球の殺菌にはOz^^-などの活性酸素が重要な働きをしている。我々は既に、Oz^^-を産生するNADPHオキシダーゼを無細胞系において活性化させるとき、さらにこの活性化を促進する新規の低分子量化合物を好中球細胞質に見出した。今回、同様の促進活性をもつ低分子量化合物が脳にも存在することを明らかにし、この物質の性質を好中球由来のものと比較検討した。さらに脳を用いて低分子量化合物の精製も試みた。 通常、無細胞系NADPHオキシダーゼ活性化は好中球の細胞膜ならびに細胞質にアラキドン酸を加えることで引き起こされるが、今実験では低分子量活性化促進因子を検出するために、細胞質の替りに細胞質のゲルろ過により分離された高分子量画分と低分子量画分の両方を加えた。 脳に存在する促進性の低分子化合物は、既存のFAD、GTPγS、DGを充分加えた時にも更に促進能が認められることから別の機構を介して働く別の化合物であることが明かとなった。しかし、好中球細胞質に存在する低分子化合物とは相加性が認められず、同じ種類の物質と思われた。また好中球の超音波処理による細胞膜と細胞質を調製する過程において超音波処理の強さに応じて低分子画分の促進能が増加した。この現象を検討した結果、低分子量化合物は細胞質の高分子量化合物に結合しており、超音波処理により高分子化合物から遊離することが推測された。 一方、これら活性化促進因子の構造解析を行うため精製を試みた。大量の試料が入手可能であるという点で出発物質を好中球よりも脳組織とした。また低分子量化合物が熱耐性であることより、精製を行う第一段階として細胞質を加熱処理し除蛋白質した。続くゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーの条件を決定した。現在これらの条件を用いて精製を進行中である。
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