研究課題/領域番号 |
06672190
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
臼井 茂之 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (40176665)
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研究分担者 |
酒井 美穂 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (60225836)
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キーワード | シトクロムb-c_1複合体 / Rhodobactor sphaeroides / コエンザイムQ / 電子伝達系 / Q結合タンパク |
研究概要 |
本年度はRhodobactor sphaeroides野生株よりシトクロムb-c_1複合体の1サブユニットであるサブユニットIVの欠損変異株の確立を中心として研究を行った。我々は既にR.sphaeroidesゲノムDNAよりサブユニットIV遺伝子(fbcQ)を含むクローンの単離に成功していた。そこで、fbcQを含むR.sphaeroidesゲノムDNAクローンを出発材料として、先ず、fbcQのSacI切断部位へカナマイシン耐性遺伝子(Kn)を挿入した場合(挿入欠損)とfbcQの3'末端側288bpを除いてKnを置換した場合(置換欠損)との双方でfbcQに欠陥を有するゲノムDNA断片を調製した。これをR.shpaeroides中では複製されない自殺型プラスミドpSup202(Tet)へ組込み、大腸菌S17-1にトランスフォームして欠陥fbcQの供与菌とした。次に、欠陥fbcQを有する供与菌とR.sphaeroides野生株とを高濃度で混合培養して接合交配を行い、R.sphaeroides野生株ゲノム中のfbcQとプラスミド中の欠陥fbcQとを二重交差法によって組換えた。組換え体のスクリーニングは、寒天培地上で好気的遮光条件下及び嫌気的光合成条件下の両方で行い、カナマイシン耐性かつテトラサイクリン感受性を指標としてR.sphaeroides変異株を選択した。ここで、欠陥fbcQを有する変異株は嫌気的光合成条件下では得られず、好気的遮光条件下でのみ得られたが、その組換え率は非常に少なく、0.05%程度であった。また、挿入欠損の場合では変異株は得られず、置換欠損の場合のみ得られた。以上のことより、光合成時における電子伝達にサブユニットIVが関与していることが推察された。変異株中のfbcQの欠損は変異株ゲノムDNAを用い、fbcQ及びKnをプローブとしたサザンハイブリダイゼーション法により確認した。新たな知見として、R.sphaeroides野生株を好気的遮光条件下で培養した場合にサブユニットIVの発現が認められなかったことから、好気的と嫌気的との生育条件の違いにより電子伝達経路が異なる可能性が示唆された。
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