研究概要 |
Ca^<2+>結合蛋白質レギュカルチン(RC)は、細胞内のCa^<2+>に関連した情報伝達系を制御する役割を有し、最近、本蛋白質のcDNAがクローニングされ、その一次構造が決定されている。本研究は、RCの遺伝子発現を調節する因子を明らかにし、その生理的役割について究明することを目的とした。本年度に実施された研究実績は以下のとおりである。 1)ラット肝臓のレギュカルチンcDNA(全長0.9kb)をプローブとして、レギュカルチン遺伝子領域を明らかにする実験を行ない、エキソン部分4個を含むDNA塩基配列を決定し、これを用い、RC遺伝子がXq(11.1-11.2)に位置することを明らかにした。 2)RCのゲノムDNAが、ヒト,ラット,マウス,ウシ,ラビットに存在し、酵母に存在しないことを明らかにした。 3)RC遺伝子の発現がCa投与によって増大され、それに伴って、肝臓中RC蛋白質濃度が増大することを明らかにした。 4)RCの発現がラットの摂食によって高められ、その調節因子として食飼中のグルコース、カルシウム及びそれらにより分泌促進されるインスリンが関与することを明らかにした。 5)肝薬物代謝酵素誘導剤(フェノバルビタール)投与によって、肝RCの発現は抑制されることが見出された。
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