Ca^<2+>結合蛋白質レギュカルチン(RC)は、細胞内のCa^<2+>に関連した情報伝達系を制御する役割を有し、最近、本蛋白質のCDNAがクリーニングされ、その一次構造が決定されている。本研究は、RCの遺伝子発現を調節する因子を明らかにし、その生理的役割との関連性を究明した。その結果、以下のことが明らかになった。 1.ラット肝臓のRCcDNAを用いて、RC遺伝子の構造を明らかにし、その遺伝子がX線染色体(Xg11.2-12)に位置することを認めた。 2.RCの遺伝子はヒト、ラット、マウス、ウシ、ラビットに存在し、酵母に存在しないことを明らかにし、高度に分化された蛋白質をコードするものと推定された。 3.RCmRNAはヒト、ラット、マウス、ニワトリなどの脊髄動物で発現しており、肝に特異的に発現されていることを見出した。 4.肝RCmRNAの発現がCa投与によって増大され、それに伴って肝中RC蛋白質濃度が増大することを明らかにした。 5.肝RCmRNAの発現がCa投与によって増大され、更にラットの摂食によって高められ、その調節因子として食餌中グルコースが関係し、またそれによって分泌増大されるインスリンも関与することを明らかにした。 6.ラットの肝再生時において、RCmRnaの発現が増進し、肝細胞増殖における役割が示唆された。 7.ラット肝癌細胞において、RCmRNAの発現がみられるが、アルブミンmRNAの発現は著明に減弱されており、それらの遺伝子発現に差異が示唆された。 更に今後は、RC遺伝子の転写制御機構について究明する必要がある。
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