研究課題/領域番号 |
06672201
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
和久 敬蔵 帝京大学, 薬学部, 教授 (90013854)
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研究分担者 |
山下 純 帝京大学, 薬学部, 助手 (80230415)
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 講師 (40130009)
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キーワード | アシルCoA / アシルトランスフェラーゼ / リン脂質 / 脂肪酸 / ラット肝ミクロソーム / アラキドン酸 |
研究概要 |
1.我々は、従来から知られているアシルCoAシンテターゼとは全く異なるアシルCoAの生成酵素系をラット肝ミクロソームに見いだし、この酵素系の性状を検討した。この酵素系は遊離脂肪酸を基質とせず、膜リン脂質にエステル化した脂肪酸を直接基質とし、反応にATP等のエネルギーを必要としなかった。このATP-independent、CoA-dependentなアシルCoA生成系のCoAに対するKm値は100μM、Vmax値は20nmol/30min/mg proteinであり、この酵素系が生体内でアシルCoA生成に十分働きうることが考えられた。この酵素系はホスファチジルイノシトール(PI)を最も良い基質とし、次いでホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)の順で基質となることを明らかにした。また、アラキドン酸を2位に多く有するプラスマローゲン、アルキル型リン脂質は基質となりえなかった。2.本酵素系が脂肪酸の脂肪鎖の延長、不飽和化に重要な役割を担っていることを明らかにした。脂肪酸修飾において従来考えられてきたホスホリパーゼA、アシルCoAシンテターゼによるアシルCoA生成の関与は低いことを示した。このことにより我々の提唱した本酵素の意義を証明できると考えられる。また、膜リン脂質の修飾により膜の流動性の変化等にも関与することが予想された。3.ラット肝細胞を用いて上記酵素系の細胞内分布を検討した。大部分の活性はミクロソーム画分に存在したが、核にも本酵素の活性が存在することを見いだし、この酵素系の新たな役割が考えられた。4.アシルCoA結合蛋白が本酵素系を見かけ上活性化することを見いだし、本酵素系の生理的な活性調節を明らかにした。5.本酵素系のミクロソームからの可溶化に成功した。更にハイドロキシアパタイト、レッドトヨパール、CoA-アフィニティークロマトグラフィー等を用いて精製を強力に推し進めつつある。
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