研究課題/領域番号 |
06672216
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
伊藤 文昭 摂南大学, 薬学部, 教授 (80111764)
|
研究分担者 |
芝本 さゆみ 摂南大学, 薬学部, 助手 (80178920)
伊藤 道恭 摂南大学, 薬学部, 助手 (30201932)
|
キーワード | 上皮増殖因子 / フォーカルアドヒ-ジョンキナーゼ / コラーゲン / インテグリン / カドヘリン / カテニン / 細胞基質間接着 / 細胞間接着 |
研究概要 |
本研究では種々のヒト癌細胞株を用いて、EGFが細胞基質感接着および細胞間接着に及ぼす影響を解析した。[細胞基質間接着への作用]EGF処理により誘起される細胞運動が、親株のヒト胃癌細胞株TMK-1に比較して強く観察されるSc(+)と低いSc(-)の二種類の細胞株を単離した。親株およびこれら二種類の細胞株のコラーゲンtypeIV、あるいはフィブロネクチンに対する接着性は、EGF処理により増加したが、BSAやポリリジンに対する接着性は増加しなかった。コラーゲンなどへの細胞接着は、Focal adhesionと呼ばれる細胞表面の特定部位に存在しているインテグリンを介して起きることが知られており、EGFはこの接着反応を促進していると考えられる、また、細胞接着性はSc(+)が最も強く、親株とSc(-)は同程度であることから、接着能と細胞運動性の間に相関性は見られなかった。また、インテグリンとコラーゲンとの反応の結果惹起されることが知られているp125^<FAK>のチロシンリン酸化が、EGF処理したTMK-1、Sc(+)、Sc(-)の三種類において見られることからも、EGFは細胞接着促進作用を有することが示された。[細胞間接着への作用]EGFはヒト大腸癌細胞株(HT29)、胃癌細胞株(MKN7)に対して、細胞集塊分散作用を示した。また、EGFで処理したいずれの細胞においてもβ-カテニンおよびプラコグロビンのチロシンリン酸化が観察された。細胞間接着には、カドヘリンやカドヘリンに結合しているβ-カテニンおよびプラコグロビンなどが重要な働きをしているので、EGFはこれら分子のリン酸化を介して細胞間接着を調節していると考えられる。
|