研究概要 |
平成6年度の研究実施計画に基づいて研究を進めた。その結果、D-リボースからの抗HIV剤、BACの変換に関してはまだ完全に目標を達成したとは言えず、今後更に検討が必要である。第2の課題である含フッ素炭素環ヌクレオシドの合成についてはほぼ目的が達成された。すなわち、2-azabicyclo[2.2.1.]hept-5-en-3-oneをフッ素ガスにより、cis-ジフロロ体とした後、還元的アミド結合開裂を行い含フッ素シクロペンチルアミンを得た。更にプリン環の構築を行い炭素環2,3-dideoxy-2,3-difluoroadenineならびにguanineを合成した。これらの抗HIV活性を検討した結果、全く活性は認められなかった。今後、ピリミジンヌクレオシドを合成し生物評価を行なう予定である。その他の関連研究としては 1)ニトロソケテン中間体を経る機能性環状ニトロンの合成 2)3、5-ジ置換シクロペンテン類のシスジオール化における立体選択性のメカニズムに関する論理的説明 3)ヒドロキシイミノ酢酸をジエノフィルとするDiels-Alder反応,等があげられる。 1)に関しては平成7年度の研究計画の一つになっている,ニトロンを経由するアミノ酸残基を有する炭素環ヌクレオシド合成の基礎的研究に相当する.2)はシクロペンテン誘導体より炭素環ヌクレオシドを合成する際の鍵反応であるシスジオール化反応の立体選択性に関する一般的説明を確立したものであり,今後炭素環ヌクレオシドの合成に有用な情報を提供すると思われる.3)の反応によって得られる2-アザビシクロン体は炭素環ヌクレオシドに誘導可能な化合物であり,平成7年度の新たな研究のテーマの一つとして考えている.
|