本研究はラット子宮筋等の平滑筋に作用をもつNeuromedin Uのアンタゴニストを開発し、本ペプチドの生理作用機序の研究に貢献することを目的とするもので、平成6年度の研究計画を実施し、次の成果を得た。 1)ペプチドのデザインと化学合成:イヌNeuromedin U-8(pGlu-Phe-Len-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH_2)をリ-ド化合物とし、(1)レセプターへの親和性を高めるアナローグとして、1位を塩基性および中性の高親水性アミノ酸で置換したアナローグ8種、(2)活性部位に相当する2位のアナローグ10種、および(3)C-末端8位を修飾したアナローグ10種、(4)7位-8位のペプチド結合を-CH_2-NH-に変換したプソイドペプチド、の合成を実施した。アナローグのすべては高純度に精製され、何れも目的ペプチドと分析確認された。 2)バイオアッセイ:上記のアナローグ28種のうち、プソイドペプチド等数種を除く20種以上のアナローグのヒヨコそ嚢平滑筋収縮活性を検討した結果、1位置換アナローグはすべて高アゴニストで、レセプターへの親和性を増加する1位の構造の多様性が示された。また2及び8位アナローグの殆どすべては活性が激減した。これら低活性アナローグのアンタゴニスト作用を検討したが、未だアンタゴニストを見い出すに到っていない。 3)レセプターアッセイ:安定な標識ペプチドとして[DTyr^1]-neuromedin U-8を調製し、抗体との結合性が優れていることを確認した。 今後、本ペプチド活性部位の4、5及び7位の置換アナローグを合成し、研究を続行する計画であり、またエセプター標品の調製法も検討したい。
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