研究概要 |
平滑筋作用薬Neuromredin Uのアンタゴニスト開発を目的として,イヌNeuromedin U-8(pGlu-Phe-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH_2)の活性中心部の構造に修飾を加えたアナローグを重点的にデザイン合成し,その収縮活性を検討して次の成果を得た. 1)Neuromedin U-8のN-端部疎水性領域を構成する2位及び4位の両Phe残基を系統的に置換した28種のアナローグの合成とヒヨコそ嚢平滑筋収縮活性を検討した結果,2位Pheが4位よりも活性発現に重要性が高いことを明らかにした. 2)Neuromedin U-8のC-端部の親水性且つ塩基性領域を構成する5位及び7位の両Arg残基を系統的に置換した14種のアナローグについて検討した結果,7位Arg残基は,塩基性アミノ酸LysまたはOrnへの置換を含め,如何なる修飾も生物活性の完全な消失をもたらし,分子構成アミノ酸中で最も重要な部位と判明した. 3)酵素的に切断され易い7位-8位(Arg-Asn)間ペプチド結合のプソイドペプチド結合アナローグおよびN-Methyl-Argの7位導入アナローグを固相法で合成し検討した結果,ペプチド主鎖のこの部位が活性発現へ寄与することがわかった. 4)7位置換アナローグ7種の収縮活性は低下したが,内活性は保持された. 5)上記アナローグのすべてにアンタゴニスト活性は認められなかったが,本ペプチドと同じAsn-NH_2構造を有するVasoactive intestinal polypeptide(VIP)が10-100mMの低濃度で本ペプチドの収縮活性を阻害することを見出した.
|