研究課題/領域番号 |
06672245
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研究機関 | 国立衛生試験所 |
研究代表者 |
宮田 直樹 国立衛生試験所, 有機化学部, 部長 (50114674)
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研究分担者 |
丹野 雅幸 国立衛生試験所, 有機化学部, 主任研究官
末吉 祥子 国立衛生試験所, 有機化学部, 室長
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キーワード | 一酸化窒素 / ニトロソ化合物 / ニトロソウレア / グリース反応 / ニトロシル錯体 / 細胞毒性 |
研究概要 |
一酸化窒素(以下NOと略す)は広範な生理作用を有することから、生体内でNOを発生する化合物の開発は、医薬品研究分野における重要な研究課題の一つである。本研究では、特定の標的部位や特定の生理的条件下で、NOの遊離量が制御可能な機能性NO遊離化合物の開発を目的として研究を行っている。本年度は、N-ニトロソウレア類を含む種々のN-ニトロソ化合物を合成し、これらについてグリース法を用いてNO発生能を検討するとともに、機器分析および本年度予算で導入した化学計算コンピュータを用いてNO遊離化合物の立体構造とNO発生能との相関の解析を行った。1.N-ニトロソ官能基を有するNO遊離化合物として、N-フェニル-N-ニトロソ基を有する化合物を中心に種々の新規N-ニトロソアミン類、N-ニトロソウレア類を合成した。^<13>C-NMRの解析により、これらの化合物は、N-アルキル基の影響でフェニル環とN-NO結合にねじれが生じ、2種類の回転異性体が存在することが明らかになった。2.上記の化合物について、NO発生能を調べた。NOの発生は、NOをポルフィリンコバルトと反応させニトロシル錯体としUVおよびIRにて確認した。NO発生能の定量は、NOを反応系外に導出しグリース法を用いて吸光度測定により行ったが、微量のNO発生を定量的に感度よく測定する目的で新規の測定装置を開発して使用した。その結果、これらの化合物では、フェニル環のπ電子系とN-NO基のπ電子との間で共役性が増加したときに、N-NO結合が解裂しNOが遊離しやすくなることが明らかになった。立体構造とNO発生能の相関は、本年度に当予算で購入した化学計算コンピュータを用いて解析中である。3.NO発生能と生物作用との相関を解析する目的で、L5178Y白血病細胞に対する細胞毒性を調べた。その結果、NO発生能力の高いN-ニトロソ化合物ほど殺細胞作用が強いことが明らかになった。
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