研究概要 |
MRI、CR、SPECT、骨塩定量分析装置、リニアック、YAGレーザー、サイクロトロン、ポジトロンCT(PET)、ハイパーサーミア、ガンマユニットの10種類の高度医療機器を対象として、次の2方向から、配備ならびに稼働の状況に関するデータ収集ならびに統計解析を行った。その1は、「厚生省医療施設調査」、「同医師、歯科医師、薬剤師調査」の都道府県別成績ならびに総務庁の示した平成3年から3年間の都道府県別推計人工および、「'93,'94先端医療機器データブック(新医療編)」の収載記録に基づく上記医療機器の都道府県別設置台数を用いた、これら高度医療機器の人工対設置台数(設置密度)ならびにその1-2年間の時系列的推移の地域格差の分析と、これに関与する医療資源の明確化である。その2は、無作為に抽出した全国の医療機関へのアンケート調査による、上記機器を用いた検査あるいは治療の実施状況に関する情報入手と当データの分析である。次に成績の要点を示す。(1)関東地方は他地域に比べ、どの高度医療機器も設置密度とその経時的増加量が相対的に低値であった。(2)上記機器の中ではMRIの台数が最多(平成5年5月現在1683台)で、設置密度の都道府県間変動係数は最小(28%)、増加量は最大(平均約0.5台/人工10万/年)であった。(3)MRI、SPECT、骨塩定量分析装置などの設置密度は医師数、病院病床数の対人口比と地域間で有意な正相関関係を示した。(4)入院および外来患者総数に対する適用頻度のもっとも多い機器はCR(101病院の中央値約0.07回/人/月)で、次はMRIであった。(5)これらの高度機器では、1台のみ有している病院よりも2-3台有している病院の方が患者総数に対する適用頻度は高い傾向を認めた。まとめ:多くの高度医療機器は、他の医療資源と密接な関係をもち、1施設で2台以上設置することは医療費の不当な増勢に関与する可能性がある。
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