研究概要 |
1.緒言:開発途上国への保健医療技術を移転する際に計画の評価を関係者が総意形成する過程をシミュレートし、保健医療サービスの評価を客観的に捉える方法の開発を目的とした。2.方法:保健医療技術移転の項目として医療機器整備計画を検討対象とした。階層化意思決定法AHPを用いて評価した。最終目標を医療機材援助計画、評価基準を近接性、保健財源、マンパワー、メンテナンス、健康度改善とした。代替案は単独で実施、国際機関との連携強化、外国との協力、NGOとの協力、中止の5案とした。3.結果:1)1次案は総合重要度0.30である国際機関との連携強化に決定した。以下順に外国との協力(0.27)、単独で実施(0.24)、NGO(0.15)、中止(0.03)となった。2)評価基準の各項目に対する代替案の1位は健康度改善では国際機関との連携強化。近接性ではNGO、メンテナンスでは国際機関との連携強化であり、マンパワーでは国際機関との連携強化、保健財源では国際機関との連携強化であった。3)各代替案のうち、国際機関との連携強化にたいする評価基準の重要度行列より、最大固有値は5.287,整合度(cI=)0.072,整合比(CR=)0.064はいずれも0.01以下であった。4)各評価基準と各代替案との評価基準の重要度行列では、メンテナンスと健康度改善のCI,CRはいづれも0.1以下であり、整合性の信頼度は高かった。近接性、保健財源およびマンパワーでは0.1以上であり、今後さらに評価重要度を再検討する余地は認められた。4.考察:医療機材援助計画の評価を実施し、国際機関との連携強化の上で計画を実施することが重要であることが、他の援助実施方法に比べてを有効であることを指摘した。また単独で援助計画を実施する場合にも、外国政府、NGOとの連携をどの様に図るかについてもAHPは有効であり、今後検討例を増やし、種々の意見を反映した総合的な評価を実施していきたい。
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