研究概要 |
日本大学板橋病院の近隣に所在する3886施設の地域医療機関を対象に、「医療連携に関する意向調査」を実施した。調査票回収率は約65%とこの種の調査としては異例の高さであった。そして、当院との医療連携を望む医療施設の割合は回答施設の87%に上り、地域医療機関の医療連携についての関心の高さが伺われた。さらに、大学病院からの逆紹介患者の受入れに関する意向は、「症例による」と回答した施設を含めると全体の92%で受入れを表明していた。また、特定機能病院となった当院に対し、地域の医療機関が今後どのような対応を望んでいるかでは、「電話やFAXなどでの診療予約」が75%の医療機関で希望しており、地域医師の当院への期待の高さが認められている。 一方、当院に医療提供機能についての登録を申し出た医療施設の数は、平成7年1月末現在で病院353施設、診療所1,557施設の合計1,910施設に上っている。そして、これら地域医療機関の機能情報をパーソナルコンピュータに入力し、当院から地域医療機関への患者逆紹介時に病状に適した施設を選択できるようなシステムを開発中である。さらに、紹介・逆紹介の状況を各医療機関毎に把握できるようなシステムも既に稼働しており、地域医療機関との連携関係の構築状況がモニター可能となっている。 また、院内の組織体制整備として平成6年4月には「医療連携室」を開設し、地域医療機関との連絡や調整業務を担当する部署を設けた。このように、地域医療機関への様々な働きかけや院内体制の整備により、当院での外来初診患者の紹介率は当初16%程度であったが、特定機能病院に移行した後の6ヵ月間でほぼ倍増し、最近では32〜34%で推移しており本研究の成果が十分に活かされているものと評価している。今後はより精度の高い医療提供機能の情報を得るよう検討し、医療施設間連携のさらなる推進を計画中である。
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