研究概要 |
日本大学板橋病院近隣の3886施設の地域医療機関を対象に、平成5年秋に「医療連携に関する意向調査」を実施した。調査票回収率は約65%とこの種の調査としては異例の高さで、大学病院との医療連携を望む医療機関の割合は回答施設の87%にも上っており、地域医療機関の医療連携についての関心の高さが伺われた。 そこで、本学付属病院との医療連携に取り組む意向のある地域医療機関を対象に、当院に開設された「医療連携室」に医療提供機能の情報を登録するよう呼びかけたところ、平成6年9月現在の集計では病院302施設、診療所1448施設、合計1750施設から登録の申し出があった。そして、それらの医療機関の診療機能に関する情報を順次パーソナルコンピュータに入力し、当院から患者を逆紹介する際に病状に応じた適切な医療機関が選択できるよう、地域における医療連携支援のためのシステム構築に取り組んだ。なおこのデータベースには、「訪問看護の実施状況」や「対応可能な住宅医療」、さらには、「得意とする診療分野」などの機能情報が施設毎に入力されており、担当医からの依頼に基づき患者住所地の近隣の適切な医療機関を選択し、紹介先医療機関の所在地や電話番号、および診療時間などの情報が提供可能な体制を整えた。 一方、平成6年度における当院の患者紹介に関する状況は、外来初診患者総数60,755名のうち紹介状の持参患者14,235名,救急車による搬入患者5,642名,当院からの逆紹介患者7,343名で、紹介率としては診療報酬上32.7%、医療法上40.0%であった。また、紹介状持参患者の紹介元医療機関の状況は、当院が所在する板橋区内の医療機関による紹介が最も多く、紹介患者数全体の24.5%を占めており、これを含めて東京都内72.9%、埼玉県20.4%、その他の県6.7%であった。現在、平成7年度の状況について集計中である。
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