MCAF遺伝子をColon 26 clone20癌細胞に導入した株(MCAF‐transfectant)のin vitroにおける増殖能は親株と変わらなかった。免疫全能Balb/cマウスの足蹠に移植し自然肺転移モデル実験を行った。原発腫瘍の増殖は親株やベクター導入株と同様であった。異色後10-14日でいづれのマウス群も体重減少をきたし、重篤なカケキシアとなったが、原発腫瘍を切除すると3日以内に体重は回復した。腫瘍を移植した日から約30日を経過した時点で新たな体重減少がMCAF遺伝子導入株を移植した群で認められた。Clone20細胞の自然肺転移発生率は50-60%であったのに比し、MCAF‐transfectantでは80%以上に転移が認められ、転移数および転移巣結節の大きさともに増加していた。原発巣の凍結切片をマウス血管内皮細胞に対する抗体で免疫染色し、ワイブルの方法でスコア化した。MCAF‐transfectant移植群の血管新生は親株に比較し、有意に増加していた。 実験的肺転移モデルとしてマウスの尾静脈に癌細胞を注入したところ、親株、MCAF‐transfectantともほぼ全例に血行性の肺転移が認められた。しかし、MCAF‐transfectant注入群では有意に生存期間が短縮していた。免疫不全マウス(ヌードマウス、SCIDマウス)を用いた実験的肺転移モデルではMCAF‐transfectantの転移が免疫全能マウスより減少していることがわかった。
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