研究課題/領域番号 |
06672276
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
原田 芳照 北里大学, 医学部, 教授 (20050677)
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研究分担者 |
畑中 公 北里大学, 医学部, 助手 (00228470)
川村 道子 北里大学, 医学部, 助手 (00154104)
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 講師 (70181641)
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キーワード | カラグニン胸膜炎 / プロスタグランジン / シクロオキシゲナーゼ-2 / アスピリン / NS-398 / ニメスリド / SC-58125 |
研究概要 |
平成6年度から開始した本研究課題について概略以下のような知見が得られた。1)COX-2発現:胸腔内滲出液中の細胞からCOX-1に加えてCOX-2の蛋白およびmRNAを検出した。COX-2蛋白の発現レベルを経時的に調べると、カラゲニン注射1時間後で検出され、3-7時間で高レベルと成った。その後徐々に低下し、24時間後では検出限界まで低下した。この時間経過は血漿滲出速度および滲出液中のPGレベルの時間経過とほぼ平行であった。このことはCOX-2が血漿滲出に深く関連するPG生成に関わっている可能性を示唆する。2)COX-2発現細胞:蛋白当たりのCOX-2発現レベルを調べると、単核球の方が好中球より約10倍強く発現していた。更に、免疫組織化学的手法で個々の細胞で調べると、単核球ではCOX-2を強く発現する細胞、僅かに発現する細胞、発現が認められない細胞がほぼ同数であった。一方、好中球では2-3%の細胞に強い発現が認められたが、大部分の細胞では発現が認められなかった。このようなCOX-2発現レベルは細胞毎に異なることが明らかと成った。また滲出液中には好中球は単核球の10倍以上存在する。従って、滲出液中の全COX-2量に対する好中球と単核球の寄与の程度はほぼ同等であると考えられる。3)COX-2阻害薬の効果:NS-398、ニメスリド、SC-58125などのCOX-2阻害薬は比較的低用量で抗炎症作用を示すと共に、PGE2レベルだけを低下させTXB_2や6-keto-PGF_<1α>レベルを変化させなかった。一方、アスピリンは全てのPG類を低下させた。 筆者らはこのモデルではPGE2が血漿滲出に最も関与することを示唆してきたが、1)と3)の結果とを合わせて考えるとCOX-2はPGE2の生成に関わっている可能性が示唆された。
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