研究課題/領域番号 |
06672277
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
安原 一 昭和大学, 医学部, 教授 (70053999)
|
研究分担者 |
倉田 知光 昭和大学, 医学部, 講師 (80231299)
内田 英二 昭和大学, 医学部, 助教授 (80175223)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
キーワード | Tnimethadione / Omeprazole / Cytochrome P-450 / 遺伝多型 / 肝薬物代謝酵素 |
研究概要 |
平成6年度及び7年度本研究助成金を基に、本研究は東洋人に於て高い頻度で発生する薬物代謝酵素の一つであるCYP2C19欠損者検索法の開発を行なう事を目的として行なわれた。即ち、CYP2C19欠損者の検索は、これまでは代表的な基質であるメフェニトインを用いて行われてきた。しかし、日本人を含めた東洋人では約20%が欠損者であるとの報告があるがこのメフェニトインは我が国においては医薬品として承認されておらず検索用のプローブとして用いることは倫理的観点から好ましくはない。このような理由から、本研究に於ては、近年になりCYP2C19の基質となることが明かにされ、かつ我が国で医薬品として広く用いられているomeprazoleが指標薬物として使用可能であるか否かに関して、実験動物,健常成人を対象に詳細に検討した。又、如何なる薬物動態学的パラメータを用いることにより、簡便かつ信頼性のある評価が行えるかに関して検討した。更に我々が長年に渡りヒトにおける肝薬物代謝能評価薬として用いてきたTrimethadione (TMO)がCYP2C19の基質となり、CYP2C19の活性測定の指標薬物として用いることが可能である否か、およびCYP2C19以外のP450分子種により代謝されるのであれば、如何なる分子種であるかに関して2年間に渡り詳細に検討した。CYP2C19のヒトに於ける活性評価は、CYP2C19によってのみ生成されるオメプラゾールの5位水酸化体(5OH-OMP)とオメプラゾールの血中濃度比を指標に行った。 その結果、血中オメプラゾールおよび代謝物の濃度比を用いて38人の健常成人を対象に代謝能の評価を行ったところ、5OH-OMPの生成量が極めて少なく同時にオメプラゾールの血中濃度が著しく上昇した例が6例認められた。この発生頻度はこれまでにメフェニトインを用いた評価法の場合と極めて類似していた。又、その評価には、血中オメプラゾールとその代謝物の濃度比を用い、オメプラゾール摂取2ないし3時間後の試料により高い信頼性で評価出来ることが明かとなった。更に、これまでに当教室で肝薬物代謝能評価の指標薬物として長年に渡り用いてきたTMOの代謝とオメプラゾール代謝の間には明らかな相関性は求められず、TMOはCYP2C19以外のP450によって主に代謝されることが示唆された。 そこで、更にTMO代謝に関与するP450分子種を明かにするため、ヒト肝microsome画分を用いたin vitro実験系での検討を試みた。その結果、TMO代謝には主にCYP2E1が関与し一部CYP3A4及びCYP2Cが関与することが明かとなった。 以上の事より、CYP2C19の欠損者検索法にオメプラゾールが極めて有用である事が強く示唆された。又、TMOは主にCYP2E1で代謝され、今後CYP2E1の評価薬としての有用性も示唆された。
|