急性骨髄性白血病患者の予後を判定しうる臨床検査法の確立を目的として、白血病細胞の増殖能、サイトカイン遺伝子の発現を検討し、患者の予後との相関を研究した。 急性骨髄性白血病患者の末梢血液から白血病細胞を比重遠心法で分離した。得られた白血病細胞を、メチルセルロース培地及び液体培養系で培養し、増殖能を調べた。また、白血病細胞からmRNAを抽出し、G-CSF、GM-CSF、IL-1遺伝子の発現を検討した。そして、患者の治療に対する反応、生存期間を調べ、相関を検討した。 白血病細胞は培養系で増殖し、白血病性幹細胞の増殖能が求められた。白血病性幹細胞には分裂増殖能と自己再生能のあることが分かったが、分裂増殖能は患者の予後とは相関がなく、自己再生能が予後と有意な相関を示した。一方、白血病細胞にはサイトカイン遺伝子を発現し、サイトカインを分泌して自らの増殖を支持することが明らかにされたが、サイトカイン遺伝子の発現の有無と予後との間には有意な相関が確認できなかった。 急性骨髄性白血病患者の予後を判定するパラメータとして、白血病性幹細胞の自己再生能の重要性が証明された。平成7年度には、さらに症例数を増やして研究を行い、白血病患者の予後を推測できる指標の確立を目指す予定である。
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