研究概要 |
平成7年度には、我々がすでに報告したフィブロネクチンのC末側ヘパリン結合領域に相当する29kDaフラグメントにおけるRGD非依存性血小板結合ドメインについて、その局在をさらに詳細に検討するため合成ペプチドを作成し、inhibition binding assayおよびADP刺激血小板凝集への阻害効果を調べた。その結果、アミノ酸残基1704-1718に相当する合成ペプチドが、標識29kDaフラグメントとGPIIb/IIIaの結合を濃度依存性に抑制し、さらにADP凝集も阻害することを明らかにした。また、このペプチドをSepharoseに固相化し、可溶化血小板膜蛋白のなかでこのペプチドと結合した蛋白を同呈すると、その分子量および抗体との反応性よりGPIIbおよびGPIIIaと考えられた。さらに、29kDaフラグメントとGPIIb/IIIaの結合波RGDSおよび細胞結合領域のRGD非依存性血小板結合ドメインであるアミノ酸残基1377-1388はにより阻害されなかったことより、C末側ヘパリン結合ドメインに存在するGPIIb/IIIa結合ドメインは他のGPIIb/IIIa結合ドメインとは異なるGPIIb/IIIa上の部位につく可能性を明らかにした(Mohri H,Tanabe J,Katoh K,and Okubo T.J Biol Chem,in press)。 また、細胞表面プロテオグリガンのフィブロネクチンと血小板との結合への影響に関しては、現段階までに充分な検討が進まなかったが、29kDaフラグメントにあるヘパリン結合部位を合成ペプチドを用いて明らかにすることができ、この結合部位はすでに明らかにしたGPIIb/IIIa結合ドメインとはことなっていた(manuscript in preparation)。
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