研究概要 |
本法では、血液検体にKOH, KCLを添加し、カブトガニ血球抽出液由来の試薬に対する検体中の反応阻害物質を除去するとともに、検体中の(1→3)-β-D-グルカンの三重鎖螺旋構造を一本鎖に変換し、反応性を高めるが、検体孵置中に生ずる検体中の濁りが問題となっていた。しかし、これもポリプロビレンの添加により除去することができ、自動化にのせることが可能となった。またカイネティックス・モードを採用することにより、500pg/mlまで幅広い範囲にわたって測定できるようになった。 国内の9医療施設に入院治療中の患者にみられた発熱エピソード202例について検討した。このうち、剖検および細菌学的検査によって深在性の真菌感染が確実と見られる症例が41症、真菌感染をほぼ完全に否定できる症例が59例みられた。血中(1→3)-β-D-グルカン値から、両者は20pg/mlを境にほぼ分けることができたので、これをカットオフ値として感度ならびに特異性ついて検討したところ、それぞれ90%、100%という極めて良好な結果を得た。 最近、カブトガニ血球抽出液から(1→3)-β-D-グルカンに特異的に結合する新しい蛋白を分離精製したので、この蛋白を用いた測定系の開発の可能性も開かれた。異なる原理による測定法の開発は、本法の妥当性を検討する上でも重要な意味をもつと思われる。
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