研究概要 |
カブトガニ血球抽出液から得られた(1→3)-β-D-グルカン結合蛋白を利用して、ELISA法による(1→3)-β-D-グルカン測定系を確立した。まず、マウスの抗(1→3)-β-D-グルカン・モノクローナル抗体でマイクロプレートの内面を被覆し、12時間4℃に放置したあとPBSで洗浄し、ついでヒト血清アルブミンを加えて37℃,90分孵置してブロックした。さらに洗浄を繰り返したあと、(1→3)-β-D-グルカン標準液(0.1、1.0、10、100、1、000ng/ml)および検体をウエルに分注し、37℃ 120分孵置した。PBS洗浄後、ビオチン化した(1→3)-β-D-グルカン結合蛋白を加え、37℃ 120分孵置。再びPBS洗浄後、ホ-スラディッシュ・ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジンを加え37℃ 120分孵置後、PBSで洗浄した。最後に、基質液を加え、室温に15分間放置した。硫酸で反応を停止し、吸光度を測定した。検量線は、0.1〜1,000ng/mlの範囲で良好な直線性を示した。(1→3)-β-結合以外のグルカン、エンドトキシン、ペプチドグリカンとは反応せず、特異性も確認された。Candida albicansを静注したマウスの血中(1→3)-β-D-グルカン値を経時的に追跡することもできた。また血中(1→3)-β-D-グルカン濃度と腎臓組織中の生菌数とのあいだに相関が認められた。ヒト深在性真菌症患者の血中(1→3)-β-D-グルカン濃度も、比色法とほぼ相関した値が得られた。しかし、本法の検出限界は、比色法にくらべ約100倍高く、また反応終了までに長時間を要するため、実用化にはさらに改良が必要である。
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