研究概要 |
1.肺炎球菌の薬剤感受性の現状 1994年〜1995年における日本の10数施設での分離菌株を収集し、薬剤感受性と菌型分布について調査した。抗菌薬はβ-ラクタム系(PCG,MPIPC,CCL,CTX,IPM),EM,CLDM,TC,OFLXを用い、日本化学療法学会標準法によりMICを測定した。その結果、ペニシリン耐性株は28%、CTX耐性株は5%認められた。また、EM耐性株は50%,OFLX耐性株は3%であった。菌型分布は3,6,19,23の各菌型が優位であり、ペニシリン耐性株もこれらの菌型に多かった。 2.セフェム耐性肺炎球菌のスクリーニング法 NCCLSディスク法での検討の結果、CTXのディスクを用いた場合は、薬剤の濃度が高いため、不適当であり、CCLまたはCFIXディスクを用いて行うことが適切であるとの結論を得た。 2.ペニシリン耐性肺炎球菌の耐性機構の解析 1992年〜1993年には臨床材料からの分離株を用いて肺炎球菌の耐性遺伝子をPCR法により検討した。肺炎球菌のPBP2B遺伝子とPBP2X遺伝子の変化はβ-ラクタム系薬の耐性の度合いとよく相関していることが明らかになった。
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