研究概要 |
1.IgA型抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies,APA)測定法の確立。phosphatidic acid,phosphatidyl serine,cardiolipinをコーティングしたマイクロプレートに血清を反応させた後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgA抗体を反応させ、o-phenilene diamine基質を加えて発色,測定するサンドイッチEIA法を検討した。標準物質として全APA測定用の標準物質を使用し、検量線も両面対数グラフを使用するとほぼ直線性が得られた。再現性や添加回収試験の結果も良好であった。ただ標準物質が全APAのため単位表示の割に吸光度が低く、測定範囲が狭いので高値検体の測定には希釈せねばならない事などの問題点がある。 2.検体測定。まず健常者およびLE検査測定依頼患者血清の全APA値を測定した。ついで患者のうち全APA高値症例についてIgA型APA値と共にIgG型およびIgM型APA値を測定した。結果はIgA型APA値が単独高値の症例、G,A型高値の症例、M,A型高値の症例、全ての型高値の症例などがあった。今後症例を増やし、各型の臨床的特徴や差異を分析する。 3.血清NO_3^-値の測定。全APA高値症例について血清NO_3^-値を高速液体クロマトグラフィー法で測定したところ全APA値が最も高値を示した2症例においてNO_3^-値が極めて低値であった。血清NO_3^-は血管内皮細胞から放出されるNOの代謝産物としてNOの動態を反映する。従って血管内皮細胞からのNO放出低下は血圧を上昇させ、血小板凝集にも影響を与えるのでAPSの血栓形成への関与も考えられ、さらに検討を行う。
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