研究概要 |
1.IgA型、IgG型およびIgM型抗リン脂質抗体(APA)の測定。前年度にIgA型APAの測定を確立したので、全APA高値症例について3型のAPAを測定し、IgA(A)型測定の臨床的意義とIgG(G)型、IgM(M)型との異同を検討した。対象検体はLE検査測定依頼患者血漿および比較的若年で原因が明らかでない血栓症患者血漿とした。その結果A、G、M全ての型高値症例(28.6%)、A、G、型高値症例(19.0%)A,M型高値症例(9.5%)、G型単独高値症例(9.5%)のほか、A型単独高値症例(28.6%)がかなりみられた。M型単独高値症例(4.8%)は少なく、G,M型症例は認められなかった。A型単独高値症例においては下肢深部静脈血栓症、閉塞性血栓性血管炎、閉塞性動脈硬化症が多くみられ、これらの症状との関連が強く示唆された。現在、一般にA型が測定されていないため、A,G,M型高値症例はG,M旗の、A,G型高値症例はG型の症状として認識されていることになる。また、従来からループスアンチコアグラントが陽性でG,M型APA陰性症例が多いが、この中には当然A型症例も含まれている。従って分画測定ではA型の測定が是非必要である。 2。血栓形成の機序に関する検討。APA高値症例患者におけるフィブリノゲン量、FDP-E、TAT、PIC、Protein C、Protein Sなど凝固線溶系因子を調べてみたが、一部患者にTAT高値が認められたが一定の傾向がみられなかった。血清NO_3^-値は血管内皮細胞から放出されるNO代謝産物としてNoの動態を反映するので全APA高値症例について測定してみた。いくつかの症例でNO_3^-値が極めて低値を示す例があるので、現在さらに同様の症例を増やすべく検討している。
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