研究概要 |
1,世界各国の助産婦の法的責任は,その業務を規定する業務法上の責任(日本でいえば,行政上の責任),民事責任(不法行為責任および医療契約責任)および刑事責任に区分できる。 2,各国の助産婦の業務内容は業務法に規定されている。しかし,依然として,カナダのオンタリオ州,アルバ-タ州,ブリティッシュ・コロンビア州を除く7州と2準州にみられるように,助産婦を医療専門職として法的に承認していない国,州がある。 3,各国の助産婦の業務内容は,その国の助産婦教育に基づくものであるが,大きく2つに分けることができる。(1)オランダのように,高校卒業後,直接助産婦教育を受け,資格を得る場合,(2)日本のように,高校卒業後,看護教育を経た後,助産婦教育を受け,資格を得る場合である。各国での業務内容で問題となるのは,薬剤の処方,X線検査,IUD挿入などを認めるか否かである。 4,助産婦の民事責任が問われる医療事故判例は,助産婦が独立自営の場合に多く,主に分娩期に発生している。最近,イギリス,カナダ,アメリカおよび日本では,助産婦の業務上の過失によって生じた損害を補填するため,助産婦自信,あるいは助産婦職団体の医療事故損害賠償責任保険への加入が具体的に検討されている。 5,日本の助産婦の業務上の過失が問題となった判例のうち,分娩期に医療事故が生じた時間帯は,ほとんどが夜勤帯,特に深夜業務時間帯であった。
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